百年法 / 山田宗樹

今回日本に一時帰国するにあたり、ブリスベンでの国際線の乗り継ぎ、札幌往復の飛行機待ち、札幌から成田に戻ってから国際線出発までの待ちと、けっこうな空き時間があると思ったので、よっしゃ、昔買って読んでなかった本(電子書籍ね)を読もう!と思ってiPad miniにダウンロード!結局、それなりに他のことでも時間つぶしができ(例えばブリスベンでは初オーストラリアということでお土産物屋を見たり、カフェの値段をNZと比べたり。帰りの成田ではたこ焼き食べて生ビール飲んで(これが痛風にはまずかった?)とか)たので、それほどたくさん読めなかったのだけれど、ほぼこの旅行で読みきったのがこの小説。

 

百年法 (上) (角川文庫)

百年法 (上) (角川文庫)

 

 

百年法 (下) (角川文庫)

百年法 (下) (角川文庫)

 

数発の原爆を投下され敗戦した、いわばパラレルワールドの日本を舞台としたSF小説

HAVIと呼ばれる不老不死の方法が発見された世界。日本はアメリカからこの技術を提供され復興していく。しかし、不老不死になることで人の入れ替わりがなくなってしまう世の中を懸念し、HAVI導入の際に「百年法」と呼ばれる法律が導入される。これは、HAVIを受けてから百年後には死ななければいけないというものだった。

物語はこの百年法が初めて適用されることになる2048年から始まる。

百年法の施行に力を注ぐ官僚、HAVIをうけ若い体をもっているものの、精神は年老いてきてしまった女性、百年法から逃れるためにテロリストを探す刑事の3つの話から始まり、やがてこれらの物語がクロスしてきます。

不老不死を手に入れらるとして、果たして自分は本当にそれが欲しいと思うか?もし不老不死を手に入れられたとして、この百年法のようなので死ぬことが自分にはできるのか?年老いた精神は果たして何を感じるのか?など、考えさせられた。これも、自分がおそらくは人生の折り返し地点を過ぎたからなのかもしれない。

なんとなくご都合主義的になってしまうところなども見受けられるが、「不老不死のある社会」というものの思考実験として面白かった。

「SFとしてはダメ」という意見もあるようだが、私は楽しめたけどなぁ。